食、農業の世界で代替たんぱく質、昆虫たんぱく質が話題になっている今、先月開催されたInsect Experience Dayは見逃せないイベントでした。Insect Experience Dayはフィンランドセンターと西荻プレイスが主催した、虫を「食とアートとサイエンス」から見つめるというコンセプトのイベントで、昆虫食が試食できるというのが醍醐味でした。会場では国内外で生産されている、昆虫を原料として使用した様々なお菓子、飲み物などが販売されていました。

世界の昆虫食市場は急拡大しており、2025年には少なくとも130億ドルに達すると予想されています。たんぱく源としての昆虫生産の大部分は動物飼料向けですが、欧米諸国などでは昆虫を含んだ食用の商品も販売されており、環境に優しいたんぱく源として話題を集めています。一方、日本では昆虫食はまだそれほどブームになっていません。

会場では日本の玄米とカナダのコオロギを使用したコオロギせんべいや、タガメのエキスを含むフルーティな味のするタガメサイダーなどが販売されていました。

アジアでは昆虫は一般的、伝統的な食べ物で、日本でも伝統的に昆虫を食べてきましたが、今日、日本の小売店で昆虫を使った商品を見かけることはまずありません。Insect Experience Dayは、食としての昆虫に対する消費者の意識を高め、高たんぱく質で栄養豊富な(ある人にとっては恐ろしく、ある人にとっては美味な)昆虫に対する好奇心をかき立てる一歩となりました。

他にもコオロギチョコレート(実際に試食したメンバーによると美味しい)、Bug Bitesと呼ばれるフィンランドのコオロギプロテインバー、瓶詰されたいなご、蜂の子が売られていました。

最も美味しい昆虫は何か考えたことはありますか?昆虫食の専門家である内山昭一氏曰く、かみきり虫の幼虫が最も美味しく、マグロのトロのような味がするとのことです。かぶと虫の幼虫は美味しくないようなので間違わないようにお気を付けください!ゴキブリは食べられますか?はい、匂いは強いですが食べられるようです。昆虫食レシピ本の執筆や昆虫食に関わるウェブサイトを運営する内山氏は、昆虫の味は昆虫が食べるものによって変わると話していました。

ランチメニューとして、巨大なミールワーム入りのペペロンチーノも販売されていました。

理化学研究所の相川先生によれば、昆虫は他のたんぱく源に比べて、生産過程における資源の消費が少なく、環境への負担が少ないため、将来の理想的なたんぱく源になりえるのだそうです。2050年までにたんぱく質の需要は現在の1.4倍にもなると予想されており、肉に代わり、昆虫がその供給不足を補うことになるかもしれないとも言われています。昆虫を食べる風習は世界の多くの地域で見られますが、多くの現代人は積極的に昆虫を食べたいとは思っていないようです。昆虫食マーケターが多くの人が昆虫を食べる日を実現するのには、まだ時間がかかりそうです。それでも、Insect Experience Dayは来場した人に昆虫食、昆虫たんぱく質のポテンシャルを知らしめることに成功したかもしれません。