米国や欧州を始めとして人気が高まっているカンナビジオール(CBD)。大麻草に含まれる成分で、心と体をリラックスさせたり、不安や心配を和らげたり、ストレスを解消したりするなどの健康効果があるとされています。経口摂取するオイルを始め、電子タバコとして吸引する用途で使われたり、クリーム等の化粧品、グミなどの食品にも利用が広まっているほか、米国等では抗てんかん薬としての登録もあります。同じく大麻に含まれる化合物であるTHCは多幸感(いわゆる「ハイ」な状態)を生じさせますが、それとは異なる効能を持っています。

日本では、CBDにまだ法的位置づけはありません。ただ、大麻取締法で取り扱いが全面的に禁止されている大麻は、「大麻草及びその製品をいう。ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く)並びに大麻草の種子及びその製品を除く」と定義されているので、当該CBDが大麻草の成熟した茎や種子を原料に生産したということを明示すること、THCが全く含有していない試験分析結果を示すこと等のいくつかの条件をクリアすれば、輸入が可能になっています。

CBD商品は2016年頃に初めて日本に入ってきて、徐々に市場を拡大してきました。現在では、ドン・キホーテやビックカメラなどの一部の大手小売チェーンが電子タバコカートリッジを中心とするCBD商品の取り扱いを始めたほか、ビープルバイコスメキッチン、イオンボディーショップ、自然食品F&Fなどの自然派コスメショップでも見かけるようになり、デパートでは時にフェアも開催されています。楽天やヤフーなどでも多くの取扱店があります。モリンダジャパンなどのネットワークビジネスでも目玉商品の一つとなりつつあり、CBDの効能に賛同する医療クリニックでも取り扱いがみられます。今年は、東京の原宿にCBD専門の路面店もオープンしました。


ディスカウントストアのドン・キホーテでは、ベープ用のCBDリキッドの棚があり、原宿のHealthyTOKYOではオリジナルのCBD入りコーヒー・紅茶・ココアを提供しています。

ドン・キホーテでは、CBDが含まれたベープリキッドやカートリッジ、使い捨てのベープデバイスなど、豊富なCBD商品を販売しています。ドン・キホーテでは、NATUuR CBDなどの海外ブランドをはじめ、KamikazeやTsukinohaなどの国内のCBD ベープリキッドブランドも取り扱っています。ドン・キホーテは、全国に展開する400店舗全てでCBD商品を取り扱っているわけではないですが、渋谷の基幹店を訪問したところ、写真の様にかなり大きな売り場をCBD商品に割いていました。

ナチュラル&オーガニックコスメを販売するビープルバイコスメキッチンでは、海外ブランドであるエリクシノールのCBDオイルやEndocaのCBDカプセル、MedeterraのCBDクリームなど、ヘルス&ビューティー関連のCBD商品を販売しています。ビープルは日本国内に18店舗を展開しており、ルミネやOIOI(マルイ)などの有名ファッションビル内等に店舗を構えています。

今年オープンしたばかりの日本初のCBD専門店HealthyTOKYO CBD Shop & Caféでは、自社ブランドのCBD商品を販売しています。HealthyTOKYOでは、CBDオイル、クリーム、カプセルだけでなく、カフェではCBDスナック、紅茶、コーヒー、ココアなども販売しています。お店のスタッフに聞いたところ、自社のプライベートブランドHealthyTOKYO CBDオイルが一番売れているとのこと。ただ、同店の主な顧客は外国人や旅行者で、COVID19による影響で最近は売上が落ちているといいます。

上述の通りCBDの市場は拡大していますが、まだ大手ドラッグストアは本格的には手を出しておらず、Amazonも関連商品の取扱を見合わせているような状況です。現状では、CBDは法的な位置づけが無く、法の枠組みから外れているため、税関の指示に従って厚生労働省から口頭ベースの確認をもらうと輸入が許可されるという形で、このプロセスは法制度として明示化されていません。この曖昧な状況が最大のリスクになっています。CBDの認知度が今後向上すれば、国内商品の開発や輸入増、健康・美容・食品等の用途が更に広がり、需要が拡大する可能性が大いにあります。大麻取締役法との兼ね合いで難しい面もありますが、輸入を認めるのであれば、早めに法制度の整備をする必要があると考えられます。