過去2年間、日本の大都市の多くの小売店やカフェ、またオンラインショップでCBD(大麻に含まれる、ストレスや痛みの緩和やリラックス効果などが期待させている成分)製品の売上が伸びています。CBD製品には、ティンクチャーやグミ、化粧品、さらにはペット用品などの輸入品及び、主に米国、中国、EU産のCBD原料を用いた国内製造品があります。
CBD製品は現在、大きなトレンドになっていますが、日本の市場では、様々な大麻由来の製品に対する関心がここ数年で高まっています。ヘンプシードとヘンプシードオイルは、日本の健康食品分野での成長が期待されています。また、長期的には、ヘンプファイバーが建築、断熱材、プラスチックなどに利用される可能性もあります。
メロスは米国大使館と協力して、日本でのビジネス展開を計画している米国の輸出業者のための資料として、大麻由来の製品の日本市場と輸入規制に関する一連のレポートを作成しました。 2018年の米国農業法案で、デルタ9テトラヒドロカンナビノール(大麻に含まれる精神活性作用のある成分。以下、THC)の含有量が乾燥重量ベースで0.3%以下の大麻、またはその派生物を、産業用ヘンプと定義し、米国での生産が合法化されました。米国での生産が許可されたことにより、工業用、飼料用、ウェルネス用など幅広い用途に使用することが可能となり、世界市場への輸出も可能な新しいコモディティ作物として期待されています。
日本では古くから大麻が栽培されてきましたが、現在、国産大麻の使用は、神社に飾る注連縄や大相撲の横綱の帯など、神道に結びついた伝統的な繊維の用途が中心となっています。 日本で大麻を栽培するには栽培免許が必要ですが、2019年時点では、免許を取得している大麻栽培者は栃木県を中心に35名しかおらず、栽培面積は合計9ヘクタールに過ぎません。また、栽培者の人数が近い将来に増えることはほとんど期待できません。
一方、産業用ヘンプは、人間や動物の食用種子をはじめとして、衣料品用の繊維、建築物の断熱材、プラスチック、化粧品やウェルネス製品の原料となるCBDやその他のカンナビノイド(大麻成分の総称)などの大麻抽出物に至るまで、日本での幅広い用途が期待されています。 将来的に、これらの原材料を日本に輸入する必要性を踏まえて、ヘンプ製品のサプライヤーは、複雑な日本の規制要件を深く理解しておくことが不可欠です。
日本の法的規制の枠組みでは、「大麻取締法」によって「大麻」の輸入が禁止されており、同法では、「大麻」を「大麻植物(Cannabis sativa L.)およびその製品」と定義しています。ただし、成熟した大麻の茎および茎を原料とした製品(違法な樹脂を除く)、大麻の種子および種子を原料とした製品は、この法律による「大麻」の定義から除外されています。また、日本では、あらゆる製品に含まれTHCの許容量をゼロとしています。大麻取締法では、THCについて明示的に言及していませんが、実際には、厚生労働省は、製品にTHCが含まれている場合、成熟した茎や種子以外の大麻植物の部位が使用されていると解釈しています。
そのため、日本にヘンプ製品を輸出する際には、合法的なヘンプ製品の輸入規制を遵守するため、さまざまな書類の準備および事務手続きが必要となります。今回のレポートでは、各製品カテゴリーの現在の市場トレンドだけでなく、CBD、ヘンプファイバー、ヘンプシード、ヘンプシードオイル製品の輸入フローと必要書類についても紹介しています。
日本のヘンプ製品市場では、今後数年のうちに規制の変更が予想されています。日本のヘンプ製品市場へのサプライヤーとして成功するためには、各市場のトレンドの変化、そして規制の変更の可能性を継続的に観察する必要があります。そのためには、日本の輸入業者やパートナーとの強力な関係が必要不可欠です。
一連のレポートは以下のリンクからご覧いただけます。
The Japanese Market for Hemp Fiber(英語)
The Japanese Market for Hemp Seed and Hemp Seed Oil Products(英語)