JICA SHEP Biz事業の一環で、弊社がコンサルタントチームに入り、ケニアの食・農分野の起業家支援のための一連の研修を実施しています。3月と5月にかけて、食品安全セミナーを開催しました。

ケニアの東部、ビクトリア湖の湖畔に位置するホマベイでは、ケニアの中でも特に落花生の生産が盛んです。落花生を炒って、すりつぶし、ピーナッツバターに加工する若い起業家たちが、多く生まれています。ホマベイの落花生はホマベイ・レッドと呼ばれる品種で特に油分が多く、なめらかでトロリとしたピーナッツバターになります。

今回がJICA SHEP第4期目となるケニアでは、地域の産業としての育成を図るため、作物の加工を担うマイクロ起業家の支援パイロットプロジェクトを、コンポーネントに組み込みました。その一環として、ホマベイではピーナッツバター生産を取り上げています。昨年、生産者、加工業者と地元農業普及員を含めた話し合いから、食品安全認証の取得プロセスの支援の点が、最初のハードルとして挙げられました。

食品安全認証は、スーパーなどのチェーン店に卸すには最低限必要な認証になっており、チャネル拡大のためには避けられないステップになりますが、認証取得に向けて工場内部の整備、HACCPプラン、ロット管理簿等の様々な記録などの準備が必要です。

最初のステップとして、カウンターパートや、地元の農業普及員、専門機関、地元のTom Mboya国立大学と協力し、生産者向けの食品安全セミナーを3月と5月の2回に分けて実施しました。

第1回目では、食品安全の基礎と、ピーナッツバターの製品規格、ラベリングと包装について取り上げるとともに、大学の設備を使いながら、場所や服装、適切な加熱と冷却、計量、清掃の仕方などGMP(Good Manufacturing Practice)について説明を行いました。

第2回目は、より踏み込んだ実践的な内容で、食品安全認証機関を招き、グループワーク主体に、穀物水分計の使い方、記録とロットナンバーのつけかた、社内規則や手順のとりまとめ方、HACCPに則ったリスク分析と自社のHACCPプランの作成方法、食品安全認証の申請に必要な書類と手順について確認しました。

いずれも3日間のインテンシブなコースで大変でしたが、地元の農業普及員が加工業者の中でも特に光る、素晴らしい起業家達を選定してくれたため、積極的な参加と前向きな姿勢が素晴らしかったです。

「食品安全がファースト、お金はその後」を合言葉に、参加した加工業者のうちいくつかの業者は、この夏の食品安全認証申請に向けて、すでに準備を開始しています。

今後は、更に落花生で最大のリスクであるアフラトキシンの問題や、落花生生産者の確保、マーケットの開拓等の分野に取り組んでいく予定です。