2023年11月22日に開催されたオランダ大使館主催の「持続可能な食料生産(畜産・食肉)」に、パネリストとして出席させていただきました!

駐日オランダ王国大使館 テオ・ペータース代理大使と農業・自然・食品安全省 フレドリック・フォッセナー特使の挨拶、オランダ食肉中央協議会会長兼欧州家畜食肉貿易業者連合会会長 ローレンス・フデマーカー博士の基調講演、農畜産業振興機構 黒井哲也 総括調整役の講演に続き、パネル・ディスカッション「日本における持続可能な畜産・食肉生産:現状と今後の展望」が開催されました。

パネルディスカッションには、フレドリック氏のモデレーションで、小倉のほか、農林中央金庫 営業企画部 森 順次 部長、オランダ農業振興会 塚田 務 代表、VIONフードグループ 日本担当コマーシャルディレクター エリック・ディ・ヨン氏、日本ハム株式会社 グループ戦略推進事業部部長 兼 新規事業推進部長 高崎 賢司氏、日本農業新聞社 農業ジャーナリスト 山田 優氏が参加。日本とオランダで、どのように目標を共有し、共通基盤(コモン・グラウンド「Common Ground」)を築いていくのか、という点に対して、建設的な議論が大変面白かったです!

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このイベントのためだけに一泊でオランダから日本に来日されたのが、欧州家畜食肉貿易業者連合会会長の代表を務められているローレンス・フデマーカー博士。

フデマーカー博士いわく、

「世界の畜産物への需要は増える。人口と所得の増加は止まらない。世界の畜産需要増は、「予想」ではなくて、「事実」だ。

オランダの高いサステナ基準を守った畜産で飼養頭数を減らすことは、そういった規制なしに環境負荷の高い生産体制を持つ国の生産を増やす結果になるだけ。

狭い視野でオランダでの環境負荷を減らそうという行為は、地球への環境負荷がより増す結果に陥るだけだ。」

実は、オランダでは、農業の環境負荷を下げるために、家畜の飼養数を半分に減らすという議論が盛ん。

食肉やチーズをオランダを始めとする生産国から輸入している私たちの立場としては、フデマーカー博士の話は、まったく共感する内容です。

また、その実現のためにはやはり日本の業界ももっと積極的にオランダなど海外での技術開発や導入に、投資し、絡んでいって欲しいと強く思わされました。

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しかし、それにしても欧州のサステナやグリーンディールに対するバックラッシュが過激化していますね!

オランダでは、2021年の下院選挙で動物福祉を第一に掲げる動物党が6議席をとり、それも関連して家畜の頭数を半減させるというような極端な方向性が示され、畜産業界は震撼。

しかし、今年の3月の上院選では、それに危機感を抱いた農業側の主導による農民市民運動党が結成され、勢いに乗って上院で第一党に。行きすぎた家畜排泄物/窒素規制の是正などを求めました。さらに、今週末の下院選挙では、極右の自由党が大勝利で第一党に。

欧州のグリーンディールは骨抜きになるのかどうか、他の欧州諸国やEU議会の動きも活発になってきています。