株式会社メロスによる米国乳製品輸出協会(USDEC)委託調査「CPTPP(TPP11協定)及び日欧EPA(日EU経済連携協定)発効の日本の乳製品輸入及び米国産乳製品輸出に与える影響分析」が、1月30日に公表されました。
環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP/TPP11協定)が2018年12月30日に、日EU経済連携協定(日欧EPA)が本日2019年2月1日に、それぞれ発効しました。2017年1月にTPPから離脱した米国を除き、日本向けの乳製品輸出プレイヤーのほぼ全て(オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、オランダ、ドイツ、デンマーク、アイルランド、フランスなど)が、これら二つの協定のどちらかに含まれています。
メロスでは、半年にわたって、業界関係者に対する詳細なインタビューにより価格弾力性や代替可能性について査定し、過去の貿易や消費等の統計データの分析を組み合わせ、二つの貿易協定が、今後20年間の日本の乳製品輸入に与える影響についての予測を定量的・定性的にとりまとめました。調査では、米国が競合国と同じアクセス条件を持っていれば、米国のシェアは倍増した可能性があるものの、もし米国側が二国間貿易協定に向けた素早いアクションを起こさなければ、チーズやホエイ、ラクトース(乳糖)などの分野を中心に、競争力が大きく低下し、関税削減が完了する21年後には54億米ドルの輸出額が失われる可能性があると示されました。
特に、日本のチーズ輸入は、純輸入量では世界でイギリスに次いで第二位であり、しかもイギリスの市場が成熟して大きな変化がないのに比べ、依然として順調な伸びを示しています。CPTPPと日欧EPAによる関税低下も寄与して、チーズ輸入は今後10年間で1.6倍に伸びる可能性があります。このため、今のタイミングを逃すことは、米国にとって大きな損失になるとともに、日本にとっても安定供給を確保するために供給先のバランスをとることが必要であると考えると、決して日本の食料安全保障にとって米国がTPPの枠組みから離脱したことは良いこととは言えません。
米国乳製品輸出協会(USDEC)の報告書は以下よりダウンロードできます。
Analyzing the Impact of the CPTPP and Japan-EU EPA on US Dairy Exports to Japan